2009年(平成21年)2月10日号

No.422

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(154)

―クラシックへ向けて― 

 共同通信杯(GV、東京、芝1800)は、今年の3歳クラシックを占うレースの1つとして注目された。出走馬を見ると殆どが1勝馬で、いずれも「まだ海のものとも山のものとも分からない」という印象を与える顔ぶれだ。そんな中で、2勝馬(シェーンヴァルト)と3勝馬(トーセンジョーダン)が各1頭。この中でも、唯一の3勝馬シェーンヴァルトが有望と見られるのは当然のことと思われたが、勝ったのは1勝馬のブレイクランアウト(武豊騎手)だった。3勝馬のトーセンジョーダンは2着に終わった。
 トーセンジョーダンは勝てなかったが、2着は確保したのだから、まずまずの成績というべきだろう。惨敗ではないのだから、驚くべきことでもない。ところで、勝ったブレイクランアウトのほうはどうだろうか。暮の朝日杯3着の成績が評価されての1番人気。とはいえ、まだ1勝馬である。それが1番人気になり、しかも堂々と勝ってしまった。そればかりか、これで春のクラシックへ向けての有力馬の1頭に名乗りを挙げることになった。
 スタート後は後方に位置し、4コーナー手前から徐々に進出し、直線で鋭く伸びて強い勝ち方をした。上がり3ハロンのタイムは、出走馬中の最速33秒6。レース前、武豊騎手は「1番にゴール板を駆け抜ける」と語っていたが、全くその通りになった。馬が騎手の指示通りに走ったというべきか、騎手が指示通りに馬を走らせたというべきか。共同通信杯は、そんなことを考えさせるレースであった。

(新倉 弘人)