2008年(平成20年)11月20日号

No.414

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(149)

―ハナ差の名勝負― 

 写真判定に15分近くかかった。結果を待つファンには、その時間が非常に長く感じられた。写真判定の結果が出るまでに13分ということだが、ファンに場内発表されるまでには15分近くかかった。これほど長い写真判定は、前代未聞といっていい。11月2日、東京競馬場で行われた「天皇賞・秋」が、如何に激戦であったかを物語る。
 逃げたダイワスカーレット(安藤勝騎手)が、そのまま逃げ切るかに見えた。1番人気のウオッカ(武豊騎手)と3番人気のディープスカイ(四位騎手)の追い込みも、とても届かないと見られた。しかし、この2頭が猛烈に追い込み、ゴール前の熱戦を極めて迫力あるものにした。特にウオッカの追い込みは鋭く、ゴールではダイワスカーレットに並んだかに見えた。「僅かに届かなかった」「いや、届いた」「同着だ」。ファンは口々に叫んだ。ゴールの写真がスクリーンに映し出されたが、見た眼には分からない。どちらが勝つかによって単勝馬券が違ってくる。騎手にとっても、優勝と2位では意味も価値も大きく異なる。特に武豊騎手にとっては記録がかかっている。
 改めてゴールの写真を見ると、ゴールの瞬間にウオッカは頭を下げ、ダイワスカーレットは頭を上げたように見える。その差は「ハナ」という表現になるが、正確には「2センチ」ということだった。判定に時間がかかった理由も頷ける。それにしても、これほどの勝負は近来にないことだった。このレースは近来にない名勝負として、長く記録に残るだろう。
 

(新倉 弘人)