2008年(平成20年)8月1日号

No.403

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茶説

温暖化の主犯はCO2ではない
 

牧念人 悠々

 月刊「文芸春秋」の今年の5月に掲載された「地球はこれから寒冷化する」(東京工業大学教授・丸山茂徳・取材・構成一志治夫)は気になる論文である。何度か読み返してみた。誰もがこれから地球は温暖化すると思いこんでいる。その犯人がCO2と決めつけている。このところの暑さは異常に感じられ、温暖化に向かっているのが確かのように思える。だから丸山教授の「少数意見」は貴重である。もうすこし世間から注目されてもよいのではないか。
 丸山教授の論文によれば、地質学と地球変動(テクトニクス)や惑星科学を学際的に研究課題としてきた立場からすると地球温暖化の主犯がCO2であるのは明らかに誤りだという。CO2と温暖化は切り離して考えるべきだというのである。しかも地球はこれから寒冷化に向かうと考えられ、その兆候がすでにあらわれていると主張する。
 まず「温度の上昇」についてである。この100年の間に平均気温が0.6度上がっている。問題にすることはないという。最近の調査ではわずか20年の間に10数度の変動を見せたことがグリーランドであった。また大気中のCO2濃度が急増した(28PPMの増加)1940年から1980年の40年間を見ると0.1度ほど地球の温度は下がっている。温暖化の主犯がCO2であるのは間違っている。
 温暖化の真犯人は何者か?現在、太陽の活動度が高まっていてこの400年ほどの統計を見ると日光照射量が最大に達している。これが温暖化の一番の理由である。私たちが暮らしているのは氷河期の狭間の、ほんの間氷期である。人類が誕生した6百万年前から数えると、4度氷河期があった。現在の間氷期がいつ終わってもおかしくない状況にある。本来、地球の気温変動は非常に振幅が大きい。この1万年間の温度変化を観察すると、6千年前にピークを迎え、その後冷却傾向にあるのだ。植物の花粉化石からはじき出した「古気候」の変動と照り合わせればそろそろ氷河期に向かいだすと考えた方が自然だというのである。太陽活動の減衰が観測されており、2035年までに寒冷化の兆候が現れるはずだとのことだ。とすればあと27年ではっきりする。後は丸山さんの論文を読んでいただこう。
 私は考える。元来、あまのじゃくである。人が右といえば左といい、左だといえば右だという。そのきらいがあるにしても丸山論説は耳を傾けるべきだと思う。23億年前にも6億年前にも地球は寒冷化し、凍りつき、生物には厳しい環境が訪れている。「地球の歴史上、0.6度程度の気温の上下などごくありふれた」(丸山論文)ことである。この長いレンジで物を見る目がほしいものだ。自然の猛威の前に人間は無力である。登山でいえば自然に抵抗した者は皆死に追いやられている。自然に逆らってはいけない。機嫌のよい時に山に登らせていただくという謙虚さがほしい。CO2削減は大気汚染、健康上を考えれば削減に努力すべきことである。CO2削減に目を奪われて「地球寒冷化」の対策を怠るとこれまた人類の破滅につながる。気候を含めた自然に対してあくまでも謙虚に対処せねばならない。
 丸山さんは「温暖化」か「寒冷化」かの決着は丸山さんが主張する2035年前よりも早く5年から10年後には自然が決めてくれるといっている。本当に自然は公平でありながら怖い審判者である。

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