2008年(平成20年)5月20日号

No.396

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競馬徒然草(137)

―ウオッカの評価と期待― 

  5月18日のヴィクトリアマイルで、1番人気になったのはウオッカだった。最近の成績を考えると、いささか意外な感を与えた。というのも、最近6戦は勝利とは縁遠く、期待を裏切り続けている。それでいて今回、1番人気になるのだから、人気とは妙なものだ。この馬が人気になるようになったのには、牝馬ながらダービーに勝ったことが大きく影響している。しかし、その後の敗戦を見てもうかがえるように、馬の実力が妙に過大評価されている傾向がある。
 しかし、ファンはヒーローを求める傾向がある。ヒーローがいると競馬への関心も盛り上がる。そこでウオッカもそんな馬の1頭として、実力以上の期待がかけられているようだ。まあ、それはそれでよいとして、実力を過信はできない。一流馬に入るかどうかの判断は分かれるところだが、一流馬に入るとしても、「上」「中」「下」のうち、必ずしも「上」に入るとはいえない、というのが妥当なところだろう。
 ウオッカの場合、後方からレースを進め、直線の末脚に賭けるという騎乗しかできないのも問題点といえるようだ。それが個性だとしても、安定性に欠けるのは否定できない。しかし、その点を承知の上で、数少ない個性的な馬を応援するのは結構なことだ。「ウオッカに勝たせたかった」「2着に頑張ったのだから、よかった」というファンもいる。実人生をレースに投影しているようだ。
      ウオッカは、「幸せな馬」かもしれない。

( 新倉 弘人)

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