2008年(平成20年)5月10日号

No.395

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安全地帯(214)

信濃 太郎

「山崎理恵子さんの個展「アイスランド」開く」

  画家で日本・アイスランド協会の会員でもある山崎理恵子さんが個展「愛するらん土・アイスランド」を東京・京橋の画廊(会場・ギャルリー・コパンダール・4月28日から5月4日まで)で開いた。会場に飾られた絵は20点。書が1点。書はアイスランドのヴィグデス元大統領の墨痕鮮やかな「愛すらん土」である。山崎さんは大統領に書のてほどきをしている。平成5年11月スポニチの越中島の本社ギャラリーで山崎さんの個展を開いてからスポニチとは縁ができた。銀座の三越でも個展を開いており、今回で20回を数える。これまでにも山崎さんはアイスランドを何度となく訪問している。会場にも海岸(「旅路はるか」)、間欠泉(「間欠泉と御来光」)、馬(「アイスランドの神秘」)などアイスランドの風景を描いた作品がある。間欠泉の高さは70メートルもある。右からご来光を受けて自然の営みのすごさを見せる。馬の絵も太陽の一条の光を受けて馬に羽が生えた「天馬」のように見える。アイスランドの最大の産業は水産業だが農業は牧畜が主で約4千の農家では牛や羊を放牧している、もちろん馬もいる。日本と同じく火山国で、火山の熱で暖められた地下水を80パーセントの家庭が暖房に使っており、地下水を利用した温室ではトマト、キュウリ、ピーマンナスなどが作られている。お金持ちの国で国民総生産は日本より上である。国民性も戦前の日本人のように親切で思いやりがあり、勤勉である。
日本の風景もある。「奥の細道」、「日本海怒涛」。山崎さんは芭蕉が歩んだ「奥の細道」をたどったことがある。来る日も来る日も日本海を右に見ながら歩いたそうだ。「真夏の太陽にどっぶりと浸り、歩いて歩いて全身びっしょり。毛穴という毛穴から汗が吹き出し目から滴り落ちる。心臓が今にも破裂しそうになって…」初めて芭蕉のワビ、サビは生易しいものではないということに気がつく。「本当の意味のワビ、サビを貫き通すには太陽のような強さとエネルギーが必要である」と知ったのだ(山崎理恵子著「ネコと理恵子の奥の細道」より)。それがこの二つの絵の中に描かれている。山崎さんの“絵ごころ”はいつも太陽をいかに描くか、に集中しているように見える。山崎さんの古い知り合いは「元気をいただきました」と言って帰って行った。

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