2007年(平成19年)12月20日号

No.381

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茶説

世界の明日のために「低炭素社会作り」を目指せ

牧念人 悠々

  人間は度し難い。危機が目前に迫らないと何もしないようだ。力のある国は当たり前のように、エゴを通す。確実に人類は破滅へ向かっている。インドネシアのバリ島で開かれた「国際気候変動枠組み条約第13回締約国会議 」は、地球温暖化は疑いないとし、対策の必要性で一致しながら削減の数値目標はすべて削減するていたらくで終わった。来年7月、日本で開かれる主要8ヵ国首脳会議は「地球温暖化」が最大のテーマである。今回のようにアメリカの鼻息をうかがってばかりいてはその責任を果たせるか心配になる。環境問題は今世紀の重要な課題の一つである。心せよといいたくなる。
 地球温暖化で世界各地で異常気象による、台風、津波、竜巻、洪水、干ばつ、砂漠化などの災害が起き、多くの被害を出している。それも貧しい地域ほど被害が深刻である。各国の事情も異なり、対立の激しいこともわかるが、危機がそこまできているというのに、これでは「泥棒を捕まえるのに縄を結うまでちょっと待て」というのと同じである。そんなことをしていては「泥棒」(地球温暖化現象)の被害も避けられず、逃げてしまうではないか。
 今度の会議で当初案では、世界が50年までに00年比で温室効果ガスを半減させるとなっていた。これは今年5月24日安部晋三元首相が国際交流会議「アジアの未来」の晩餐会で演説した地球温暖化対策の戦略「美しい星50」と同じ削減目標である。さらに先進国は20年までに1990年比で25〜40パーセント削減するというものであった。アメリカと中国が反対したというが、目標を立てなくて意志だけ表明しても何の役にもたたない。
 ここだけの話だが、削減目標を立てなくてもよいだろう。だらだら会議を続ければよい。海水が5センチあがると世界の多くの国々が水没する恐れがある。山が多い日本はまず大丈夫だという(ある学者の話)。もっとも京都議定書では主要各国の削減率を決めている(期間2008年から2012年の5年間)。日本−6パーセント、米国−7パーセント、EU−8パーセント、カナダ−6パーセント、ロシア0パーセント、豪州+8パーセント、NZ0パーセント、ノルウェー+1パーセントである。なおCO2を世界で一番多く排出している米国は京都議定書を批准していない。2位の中国も5位のインドも削減の義務を負っていない。
 新しい枠組みは京都議定書を引き継ぎ2013年以降に備えるものである。すべての国が参加する新作業部会が2008年4月に初会合を開き、09年に作業を完了と「バリ行動表」にある。
他国はともかく日本は削減が決められた1990年比−6パーセント削減率を官民挙げて実行せねばならない。しかも環境技術では世界のトップである。果たすべき役割は大きい。その方向は安部前首相が演説した「美しい星50」に示されている。「低炭素社会作り」を目指さなければ世界の明日はない。

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