2007年(平成19年)11月1日号

No.376

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
いこいの広場
ファッションプラザ
山と私
銀座展望台(BLOG)
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

競馬徒然草(125)

―「名勝負」への期待― 

 「名勝負を期待したが、駄目だったね」。天皇賞(秋)についてのファンの感想だ。名勝負というものは、まず、互角の相手がいることが条件だ。そうでない場合は、「名勝負」は期待できない。そういう観点から見ると、今年の天皇賞(秋)は、確かに期待はずれに終わった。1番人気のメイショウサムソンは期待に応えて見事に勝ったが、2番人気のアドマイヤムーンがあえなく6着に敗れたからだ。「名勝負」どころか、「好勝負」も見られなかった。
 この両馬の対戦が注目されたのは、前走の宝塚記念で好勝負したことによる。そこで2度目の対戦となる天皇賞が、より注目度を高めることになった。再び1,2着のレースとなれば話題を盛り上げることにもなったのだろうが、そうはいかなかった。好勝負を期待したファンは裏切られた。勝ったメイショウサムソンの強さだけが目立った。
 そうではあるが、アドマイヤムーンが弱い馬だとはいえない。レース中の不利が大きかった。直線の入り口で外へよれた馬がいたため、外側の馬が次々と被害を受けるはめになった。アドマイヤムーンもその1頭で、レース後、岩田騎手は「もう1回、レースをさせて欲しいですよ」と語っているほどだ。釈然としない騎手は少なくなかった。
 それでいて、最初に原因を作った馬も騎手も処罰されなかったのだから、後味の悪い天皇賞になった。レースに関するルールや裁定の基準などについて、再検討が必要なのではあるまいか。そんなことも感じさせた天皇賞であったようだ。

( 新倉 弘人)

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp