2007年(平成19年)5月20号

No.360

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茶説

新憲法制定へ加速する

牧念人 悠々

 国民投票法が出来た。いまの憲法が成立して60年目でやっと国民に憲法改正の是非を問えることになった。当然のことといいながら喜ぶべきである。早ければ平成11年秋に「憲法改正の国民投票」を実施の運びとなる。占領期間中に出来た現憲法である。本来なら独立した昭和28年4月28日以降速やかに改憲すべきものであった。遅きに失したと言っていい。「国民投票法」の成立に反対した野党は時代から60年も遅れた政党である。時代感覚ゼロといってよいであろう。これに同調する新聞もまた同罪である。
 野党の反対は「護憲」にある。とりわけ「9条」問題である。自民党の新憲法草案によれば9条の1の2「前項の目的を達成するため陸海空軍その他の戦力を保持しない。国の交戦権は、これを認めない」を削除して9条2項に自衛軍を新設する。
1「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する」
2「自衛軍は前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより国会の承認その他の統制に服する」
3「自衛軍は第1項による任務を遂行するための活動のほか法律の定める所により、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に強調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことが出来る」
4「9条2項の2に定めるもののほか自衛軍の組織及び統制の関する事項は、法律で定める」
今の自衛隊と何ら変わらない。他国の軍隊と同じである。違いといえばイラクに派遣された自衛隊がそうであったように練度と規律が他国軍に比べて抜群であるということだ。2項の歯止めがなくなれば・・・と心配する向きもあるが、9条1項がそのまま残されているのを見落としてならない。「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」と「平和主義」を継承する。これは戦後60年間日本は一人の戦死者を出していない歴史認識が裏付けとなっている。1の2項を削除したからといって戦前の軍国主義に帰るようなことはあり得ない。中国 の心配は杞憂に終わるであろう。
集団的自衛権の問題は日本だけに通用する屁理屈である。外国人には何んのことか判らない。「権利はあるが行使できない」とは空論である。一緒に戦っている同盟国が襲われた時、救援し敵を撃退するのは当然である。自国が襲われない限り反撃できないなどというのは戦理だけでなく人情にも悖る。
もちろん海外でも武力行使のおそれは出てくるであろう。日本の場合、「国際紛争解決の手段としての武力行使を放棄」している以上、イラク戦争での英国軍の立場と異なる。違った局面になるであろうと思うが、千変万化の戦場でのこと予想はつきにくい。
自民党の憲法草案や自衛軍について国民の議論を進めるのは新聞の大きな役割である。7月の参院選挙では争点の一つになるのだからことあるごとに論評したらどうか。それも正しく報道し、論評してほしいものだ。

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