2007年(平成19年)4月20号

No.357

銀座一丁目新聞

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茶説

人間の考え方、見方はさまざである

牧念人 悠々

 都知事選に立候補した黒川紀章(得票数156315票・4位)さんについて、演出家・テリー伊藤さんは「小市民には理解できないスケールの大きさを持っている。往年の岡本太郎に匹敵するインパクトだ」と、そのタレント性に注目する(4月14日毎日新聞夕刊)。私などは世界的に著名な建築家がいまさら政治の世界に入らなくても・・・という感慨を持った。その派手な選挙運動にも余り感心しなかった。その意味でテリー伊藤さんの指摘は意外で新鮮であった。「このような見方があるのだな」と思った。今後の黒川さんの運命はテリー伊藤さんが企画するいくつかの番組に出演するかどうかにかかっている。これに乗るテレビ局があるのかどうか・・・。実現すれば都知事石原慎太郎さん(得票数2789601票)を乗り越えれるかもしれない。
 中国の温家宝首相の訪日について。日中両国は新しい段階に入ると前回の「茶説」に書き、ブログでは「氷解く旅なれば花も微笑む」「白妙の氷解ければ花白し」と下手な返歌まで作って歓迎した。国会議員の西村真悟さんが国会での温家宝首相の演説を直接、聞いてその感想をメールで送ってきた(西村真悟時事通信・4月12日号)。結論を要約すると、論語をはじめ四書五経の教えが中国にあるので中国人は立派だと思いがちである。そういった教えが伝わってきたのは、その教えと正反対の社会があるからだ。共産中国の政治に仁・義・礼・忠・信などの要素を見つけられない。温首相が演説の中で中国の教訓に満ちた古語を引用した時、魯迅の「狂人日記」の最後の一節を思い起こした。中国では、それらの美しい教訓に満ちた文章の行間には「人を食う」という文字が書いてあると、魯迅はしめくくっている。平和を愛するといいながらチベットなどを侵略し核ミサイルを増強する。日中友好を唱えながら尖閣諸島を勝手に中国の領土と主張し反日教育を続ける中国である。国会の演説に拍手があったにしても今までのパタン一通り中日友好で実利がついてくるとは限らないと主張する。まだあちこちに解けない氷がたくさんあるということか。
 物事には表と裏がある。表だけを見ていると過ちを犯す。と言って裏に固執するとまた間違える。裏を承知の上でよい面を伸ばしてゆくほかあるまい。日中は不戦のもと友好を推進してゆく「戦略的互恵関係」が望ましい。少年期を満州で過ごした私は中国にはともに学んだ中国の友人もおり、親近感もある。平和・友好を願ってやまない。

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