2007年(平成19年)4月1号

No.355

銀座一丁目新聞

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茶説

美しい国作りとは・・・

牧念人 悠々

 安倍晋三首相が就任して半年がたった。新聞はどこが美しい国作りかと批判する。とりわけ「政治と金」をめぐって評判が良くない。私は美しい国作りを国民一人一人が努力すべきだと思っている。とはいうものも私もかなり批判的である。。自分たちの周りを見ると、飲酒運転はいけないといいながら飲酒運転は後を絶たない。警察官も役人も新聞記者も飲酒運転で捕まり、会社をクビになっている。治安が比較的好い日本で英国から来日した若い語学教師が殺害される事件も起きる。一向に日本は美しくない。
 さらに言えば、「沖縄密約事件」における政府の態度に疑問を抱かざるを得ない。1971年沖縄返還協定で米国が支払うべき軍用地復元補償費400万ドルを日本が肩代わりする密約があった。ところが、2000年公表された米国公文書で密約が明らかにされた。当時、毎日新聞の政治部記者、西山太吉さんがこの密約を暴露報道をした。このため、西山記者とニュース・ソースの外務省の女性事務官が国家公務員法違反で逮捕され、有罪となった。東京地検は「報道の自由」に絡むこの事件を巧みに「スキャンダル事件」に仕立て上げた。「政治事件」を「スキャンダル事件」にすり替えるのは権力の常套手段である。心ならずも新聞記者を辞めた西山さんは「密約を否定した検察官の起訴や政府高官の発言で名誉を傷つけられた」として賠償を求める訴えを起こした。3月27日東京地裁が下した判決は密約の有無について一切言及せず「権利の存続期間20年を過ぎて賠償請求権は消滅した」として請求を棄却した。当時の外務省アメリカ局長吉野文六さんは法廷で刑事事件での証言を撤回、密約の存在を認める証言を行った。それでも政府はいまだに密約はなかったと否定する。安倍首相の父晋太郎さんは毎日新聞の政治部記者であった。西山記者はその後輩である。「政治事件」の犠牲となって記者を辞めざるを得なかった西山記者のために名誉回復の努力をされてはどうか。美しい国作りを目指す安倍政権は「嘘をつき」を通す積もりか。「勇断なき人は事を為すあたわず」(島津斉彬)。何か手を打たない限り、これでは7月の参議院選挙は苦戦を余儀なくされそうな氣がする。

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