1998年(平成10年)7月1日(旬刊)

No.44

銀座一丁目新聞

 

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茶説

サッカーの隆盛を祈る

牧念人 悠々

 サッカーのワールドカップで日本チームは3敗であえなく敗退した。5回も進出し、まだ1勝もできない韓国チームを考えれば、世界の壁がいかに厚いものかわかろう。

 アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカに善戦したとはいえ、日本の技術、戦術、精神力、体力において世界とのレベルの差は10年以上もある。このことを承知してか知らないのか、日本のマスコミは、勝つ勝つとあおりすぎたきらいがある。もう少し、他国チームとの戦力の分析、日本チームの弱点など冷静に報道すべきではなかったか。余りにも読者に迎合しすぎた。

 今後、日本が勝つためには、やらねばならないことは多いはずである。3戦をみた限りの感想をのべれば、ペナルティ・エリアからゴールめがけて打つシュートが余りにも不正確である。体勢を崩して打つ場合がほとんどだから、無理もないであろう。それをどんな不利な体勢からでも確実に得点する能力を育てなければならない。もっとも、このような場合、確実にゲットーできるのは特別な才能を持つ選手に限られるからそう簡単に選手が育たないかもしれない。

 もうひとつ感じたのは、体力である。90分間フルに走り回っても運動量が落ちない選手を育てる必要がある。前半はともかく、後半になると、日本選手の走力が落ちるのが気になった。

 日本の実力は、率直にいって、まだまだである。4年後の日本と韓国の共同開催のワールドカップでも、日本は1次予選突破は難しいであろう。10年計画を立て、サッカー少年の育成計画など、目先にとらわれない計画をたてるべきであろう。

 スポニチがJリーグで傘下チームの若い選手を対象に、「サッカー留学制度」を設けて、毎年、2, 3人の10代の選手をアルゼンチンあるいはブラジルのクラブチームに留学させているのは、1企業のワクをこえた注目すべき事業である。

 ファンも監督の選手起用のよしあしを論じたり、協会幹部を非難したりするよりも、いかにすれば、日本が強くなるか、意見をいい、提言すべきである。

 

 今回のワールドカップのテレビの視聴者は370 億人をこえる。オリンピックの比ではない。今回のフランス大会を機に、さらにファンは増えるであろう。

 日本のサッカーファンが大挙してフランスに応援に出掛けた様子をみるにつけ、平和の良さをしみじみと感じる。そういえば、世界最高のサッカー選手を何人も生んでいるブラジルは核兵器をつくらないと決めた国である。サッカーを通じて異国間の相互理解を深め、交流を広げれば、世界の平和のために大いに役立とう。今後ともワールドカップ大会がますます隆盛するよう祈らざるをえない。

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