2006年(平成18年)6月1日号

No.325

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競馬徒然草(81)

―コスモバルク、久々の勝利― 

  「コスモバルクがやっと勝ったね」。競馬ファンの1人が安堵した顔で言った。折からクラシックシーズンの真っ只中である。今年のクラシックとは直接の関係はないが、かつてクラシックで話題を呼んだ馬だから、記憶を甦らせる人も少なくないだろう。そのコスモバルクが、忘れかけていた頃に勝った。しかも、香港への海外遠征での勝利。5月14日夜、シンガポール・クランジ競馬場で行なわれたシンガポール航空国際カップ(GT、芝2000メートル)でのことだ。地方競馬(北海道所属)の馬としては、史上初の快挙である。同馬にとっても、04年9月以来1年8カ月ぶりの勝利となった。騎手はこれまでどおり五十嵐冬樹騎手。レースは2番手を進み、直線半ばで先頭に立つと、追いすがる他馬を振り切ってそのまま押し切った(2分6秒5)。
 コスモバルクのこれまでを振り返ってみる。04年、中央競馬の3冠レースに出走したが、「地方競馬の星」といわれたものだった。だが、皐月賞2着、ダービー8着、菊花賞4着。いまひとつ期待に応えられなかった。それでも同年11月のジャパンカップでは2着に入り、実力の片鱗を発揮して見せた。しかし、その後は不振だった。先行するだけのスピードはあるが、むきになって走る気性が災いした。だが、今回の香港遠征では、移動後の調整などもすべてうまくいき、精神的にも落ち着いたことが勝利に結びついたようだ。これからも今回のようにうまくいくとは限らない。だが、「地方の星」としてファンの期待も大きかった馬である。ともかく今回の勝利を喜びたい。

( 新倉 弘人)

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