2006年(平成18年)4月1日号

No.319

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(76)

―競争の激化、厩舎の在り方― 

 2月に東西の調教師8人が引退した。うち7人が定年引退で、1人は定年(70歳)より1年早く勇退。栗東では瀬戸口、松田、大久保(正)の3調教師が定年で、清水久雄調教師が勇退。美浦では加藤(修)、成宮、中尾、古賀の3調教師が定年。それぞれ活躍馬を出してきているので、それらの馬の名を思い出すファンも多いだろう。例えば、毎日王冠など国内の重賞を4勝したほか香港でも勝ったエイシンプレストン(北橋厩舎)、古くはダービー馬アイネスフウジン(加藤厩舎)、オークス馬カネヒムロ(成宮厩舎)2冠馬サニーブライアン(中尾厩舎)など、古くからのファンには記憶を甦らせるものがあるだろう。
 ところで、調教師引退のニュースと関連して考えさせられるのは、厩舎の成績に大きな変化が見られることだ。厩舎の馬房はJRAから割り当てられる。その馬房数はこれまで厩舎の成績とは関係なかったが、勝利数が多い厩舎と少ない厩舎に差をつけるようになっている。いい馬を持つ馬主は、勝てる厩舎に馬を預けようとするから、勝てない厩舎に預ける馬主は少なくなる。当然、空き馬房が出る。担当する馬のいない厩務員も出てくる。その人件費を負担できないから、止むを得ず馬房を自主返納するケースも現われる。
 調教師の厩舎経営も厳しい状況にある。厩舎がただ馬を預託されればいいという時代は去った。厩舎別の勝利数の大きな差を見るだけで、そうしたことはうかがわれる。そこでファンとしては、改めて勝つ厩舎と勝てない厩舎の選別をする必要があるということだろう。

( 新倉 弘人)

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