2006年(平成18年)3月10日号

No.317

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(74)

―フェアとアンフェアの境― 

 弥生賞については、ファンのレース後の感想には厳しいものが多かった。特に、サクラメガワンダーの安藤勝己騎手の騎乗ぶりについてである。サクラメガワンダーはアドマイヤムーン(武豊)とともに人気となり、2番人気に推されていた。それが4着と期待を裏切ったからだ。「スタートがまずく、離れた最後方から行ったんじゃ、話にならんよ」「あれでは届くわけがない。武のアドマイヤムーンのほうは後ろから2番手にいたが、早めに好位に上がって行ったからね」「それに比べると、アンカツ(安藤勝己)の不手際が目立った」といった具合だ。
 「レース前から、アンカツは勝つ気持ちはなかったのではないか」という厳しい意見もある。というのは、離れた最後方に位置取りしていたことについて、レース後「中山でどれくらいの脚が使えるのか、はかる面もあったしね」というアンカツの談話があるからだ。「そのつもりなら、レース前にそう言って欲しいね。そうと分かっていたら、馬券は買わなかったんだから」「騙されたようなものだが、こういうのはフェアとはいえないね」。
 スタートがよくなかったから、結果として、最後方からの追い込みとなったのだろうが、「中山でどれくらいの脚が使えるのか、はかる面もあった」という談話は、騎乗ぶりについて必ずしもフェアでないという印象を与えるというわけだ。サクラメガワンダーは、暮れのラジオたんぱ杯で勝ったほどの実力馬。しかも、それまで後方一気のレースをしていない。極端なレース運びをする脚質の馬ではない。それが一変して弥生賞のレースぶりとなったのだから、ファンの批判も当然といえる。
 それとは対照的に、きっちりと勝った武豊(アドマイヤムーン)の、フェアでソツのない騎乗ぶりが光った。それが弥生賞を不明朗なものにすることから救った。

( 新倉 弘人)

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