1998年(平成10年)5月20日(旬刊)

No.40

銀座一丁目新聞

 

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ゴン太の日記帳 (6)

目黒 ゴン太

 5月11日、又、TVからあの嫌な音が2回鳴った。“キンコーン、キンコーン”。たまに良いNEWSの時の有るが、たいていは、又特に最近は悪い知らせばかりを伝えてくれているので、この音が、鳴る度に画面を見るのが、恐くなるのだ。しかし、この時はいつもよりなぜか落ち着いてみていた。「又、伊豆の方か、鹿児島の方が地震が有ったのかなあ。」等と、最近、たてつづけに起こっていた地震だと決め付け、又、それらは小康状態に入ってきたと聞いていたので、勝手に見る前から安心していたのだ。が、白い文字が画面を走り出した瞬間から、状況は一転し、次から次へと出てくる文字を食い入る様に、又何度となく読み返した。それは、インドが核実験を行ったと伝えるものだった。

 インドの地下核実験成功のニュースは、翌日の朝刊のトップに有った。日本としても、世界中の国々は驚きを隠せないといったことが報じられていた。しかし、そこで自分が驚かされたことは、インドを非難する声一色だと踏んでいたのに、各国の反応は、まちまちなのだ。自分個人としては、もちろん核実験など、大反対であっただけに、少し期待外れというのはおかしいかもしれないが、そんな気分になった。どうやら、その訳は核兵器軍縮の為の条約、NPT(核拡散防止条約)、CTBT(核実験全面禁止条約)に有る様であり、かいつまんで説明すると、これらは既に核保有している国はしょうがないが、これから核を持ちたい国は絶対持ってはダメと何とも、核保有国にとって都合良いことになっており、これらを踏まえると、発展途上国の支持を集めることにもなってくるらしいのだ。又、今回の実験は、大国へのアピールであり、長期的に見れば大国が核軍縮せねばならないというプレッシャーをかけることになるという。だから、インドばかりは責められないという意見が多いらしい。

 まるで、子供のケンカの様に見えるが、これは、紛れもなくこの世界の中のトップクラス同士のかけ引きというからたまったものではない。インドばかりを責められないとあったが、核実験行った時点で充分に言及すべきだし、又、今現在、インドを猛烈に非難しているアメリカ等も、今年中に何度も行っている訳で、自らが先頭に立って軍縮を進めてゆくべきだし、そのアメリカ相手に苦言を呈することができるとされるのが、(本来は、国、人種等関係無く、声高にして言うべきだが)唯一の被爆国としての日本の、日本人の役割とするなら、全うしてゆくべきであろう。とにかく、核の廃絶を見るまで戦い続けなければならないのだ。

 

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