2005年(平成17年)10月20日号

No.303

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お耳を拝借(144)

「人生ゲーム」

芹澤 かずこ

  何の宣伝なのか肝腎なことは見落としてしまったが、「家が買えた」「子供が生まれた」などと『人生ゲーム』に大人がわいわい興じているコマシャールをテレビで見た。家にも同じゲームがあり、孫たちが来ると必ず相手をさせられる。昔で言えば双六のようなもので、こちらはサイコロではなく、ルーレットを回して出た目の数だけ前に進み、そのマス目に書かれている指示に従うというもの。
 先ず銀行家を決め、お金や保険証券、株券などの出し入れは総て銀行家が取仕切る。プレイヤーは、好きな色の車を選んで、同じ色の旗を立て、銀行家から最初の資金$3,000を受け取ってスタートラインに並び、自分の進むコースを決める。安定したサラリーマンを目指すなら『ビジネスコース』、スポーツ選手や代議士、医者、タレントなどを目指すなら『専門職コース』を。
 でも、出た目によってはサラリーマンにも専門職にも付けずにフリーターということもある。まるで人生の縮図そのもの。ところどころに『給料日』があり、仕事の決まっている者は決められた給与をその都度受け取り、フリーターはルーレットで出た数の1000倍を受け取る。ルーレットの数は10までしかないから、最高でも$10,000にしかならない。
 ゴールまでには多彩なマスがあり、油田を発見して$200,000を手にする場合もあれば、株が暴落したり大損したりもする。レスベガスで$10,000を賭けてスロットに挑戦というのもある。ルーレットを3回回し、同じ数が2回出たら$100,000で 3回出たら$500,000になる。この時ばかりはいやが上にも興奮してついつい大きな声が出てしまう。たかがゲーム、されどゲームである。
 本物のお金を賭けているわけではないのに、いい目が出ないと面白くないし、不機嫌にもなる。子供相手に始めて大人の方が夢中になってしまうのが、このゲームの面白いところだろう。



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