2005年(平成17年)7月10日号

No.293

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競馬徒然草(52)

―サンデーサイレンスの話題― 

 サンデーサイレンスが死んで間もなく3年になる。今年デビューする仔が最終世代だ。そこでファンの眼は、今年デビューのサンデーサイレンス産駒(2歳馬)の活躍ぶりに注がれることにもなる。過去の産駒の活躍があまりにも華々しいから、当然といえば当然のことだ。例えば今年のダービー。1着から10着までにサンデーサイレンスの仔が5頭、孫が2頭入っている。優勝したディープインパクトももちろん仔の1頭で、皐月賞とダービーの2冠を制している。秋の菊花賞をも制して3冠馬になることが期待されているほどだ。
 サンデーサイレンスを交配の点から見てみると、優秀な繁殖牝馬が集まった。競馬は血統のスポーツ(ブラッドスポーツ)と呼ばれ、速い(強い)馬同士の配合が多い。だが、そこには問題もなしとしない。近親交配の弊害(虚弱体質や奇形など)をもたらすことが多くなる点だ。そこで、如何にして近親交配を避けるかに、生産牧場の工夫がなされることにもなる。
 生産牧場では、同じ馬の子孫同士のかけ合わせを「孫×ひ孫」の代まで待つようにしている。そこで、他系統の大物種牡馬をサンデーサイレンス系の優秀な繁殖牝馬に交配させることも、1つの方法として進められている。サンデーサイレンスをアメリカから輸入した社台ファーム(北海道千歳市)の場合などは、フレンチデピュティという別系統の種牡馬を種付けさせることなどを試みている。
 牧場によっては、サンデーサイレンスの子孫の牝馬を海外に輸出して、外国の優秀な牡馬に種付けさせてから日本に戻している。逆に海外から血統のよい、牝馬を輸入して、サンデーサイレンス系種牡馬と配合するところも見られる。
 こうした試みの結果、どのような配合例が成功するだろうか。すべては産駒の活躍如何にかかっている。今年の2歳馬の活躍ぶりも、そんな観点から注目する必要がありそうだ。

( 新倉 弘人)

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