2004年(平成16年)10月10日号

No.266

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お耳を拝借(110)

「エンディングノート」

芹澤 かずこ

 子供のいない叔母が入院して、意識も朦朧として口も利けない状態に立ち会った時、遺言などという大袈裟なものでなくとも何か書き残しておかないと、「いざ」という時に困るという話を従妹としたら、早速「ナルク エンディングノート」なるものを送ってきた。
 ナルクというのは特定非営利活動法人で、第2の人生を生き生きと過ごすための「自立」を促す団体だそうで、元気なうちは困った会員のために働いてボランティアの時間を貯め、自分が困ったときには引き出して助けてもらう時間預託システムによる『助け合い』がその最大の特徴とか。
 全国82の拠点に15,000人以上の会員を有し、平均年齢が61歳。「自分がもしもの時に財産やお墓をどうすればいいのか、植物状態になったときにはどうして欲しいのか色々と子供たちに伝えておきたい」という会員の声がきっかけで企画したノートだとか。
 「これからの自分の有り方について、自分の考え方を明確にし、遺される人へのメッセージとして書き残しましょう」とあり、48ページに渉って色々と書き込めるようになっている。自分の経歴。介護・看病についての希望。尊厳死・安楽死・延命治療・脳死・ホスピスケア・病名の告知・解体についての考え方。遺言の有無。先祖の記録。いざと言う時知らせて欲しい親戚・友人・知人の住所。不動産・動産・資産・権利・カード・借入金・保険類・税金などの家庭経済の記録。葬儀方法・費用・お墓についての指示と希望、などなど。
 これだけ細かく書いておけば、例え叔母のように何も言えぬままに入院したり、最期を迎えたとしても、処理にあたる者は助かるだろうし、以前から考えていたことなので早速実行に移そうと思っている。



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