2004年(平成16年)2月20日号

No.243

銀座一丁目新聞

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山と私

(3)
国分 リン

−雪の着物をまとった白馬三山−

  夏に数回登った大好きな白馬岳の冬の姿を写真に撮ろうと、昨年の1月は八方尾根、3月はサンアルピナ鹿島槍スキー場からの白馬三山と鹿島槍ヶ岳の大きな雄姿を写真の被写態にした。今年は645の大判カメラを購入したので慣れと勉強の為にまた白馬を選んだ。
撮影スポットを地図上で探し、楽をして高い所へ上れる場所として白馬岩岳スキー場に決めた。
 2月13日若者達の中へ紛れて夜行バスで早朝6時に白馬村みそら野へ着いた。急いで
スキーの準備をし、カメラと三脚を持ち8時20分に着きゴンドラで一気に頂上へ。
写真は朝日か夕陽の斜光線に輝く風景が良いので、一刻を争う。その瞬間の山は変化するし、太陽や雲の状態や陰影のある写真が撮りたい。幸いにも天候は晴れ、雪をたっぷり着た白馬槍ヶ岳・杓子岳・白馬岳が目の前に大パノラマのスケールで聳えている。場所を変えて三脚を据えカメラをセットしレンズ越しに観ては歓声をあげてシャッターを押す。この感動を伝えられる写真が撮れたらといつも願っている。今日こそはと思う。欲張りで周りが整理出来ず煩雑な写真になる。気をつけよう。三脚をケースに入れザックにカメラをしまい、スキーで撮影スポットを探しながら滑る。途中数ヶ所でカメラを構えシャッターを押す。八方尾根の稜線の上に唐松岳が見える。昨年5月にスポニチで登った感動がよみがえる。白馬岳を大きく捉えたり、白馬槍ヶ岳の一目で判るすっきりとした姿、それに連なる白馬杓子岳等を20枚ほど撮る。出来上がりが楽しみだ。12時頃になると山の天候は変わりやすく雲が頂きにかかり少しずつ槍の穂先を隠す。しばらくすると様子は一変しすっかり山は雲に覆われてしまった。西の方から低気圧が近づいているらしい。青空が残っていたので夕焼けを期待したが、ますます空模様はおかしくなり3時頃には雪が舞いだした。撮影をあきらめてスキーで滑り降りた。
 夜から雪が降り出し一晩で40cmほど積もった。雪国育ちの私は一気に故郷へ戻ったような感覚になった。まだ雪は降り続いている。今日は撮影をあきらめた。思い出したが雪国では1日でも天候に恵まれれば運がいいのでした。
 

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