2003年(平成15年)11月20日号

No.234

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(33)

―物差で測る― 

  馬の能力を比較するのは難しい。そんな場合、1つの物差で測るのが簡便な方法だ。基準になる馬を決めておき、その馬を「物差」として、能力を比較してみるのだ。2歳馬が続々とデビューしている時期なので、特に2歳馬について、取り上げて見る。例えば、2歳牡馬に、ナムラビッグタイム(父サクラバクシンオー)という馬がいる。この馬を1つの物差として他馬の能力を測るのである。これは手軽にできるし、結構役立つ。
このナムラビッグタイムのデビューは、6月函館の新馬戦。父サクラバクシンオーの血を受け継いだスピード馬で、1000メートルを57秒8のタイムで逃げ切った(上がり34.5)。2戦目のラベンダー賞(1200メートル)は緒戦より距離が200メートル延びていたが、これも逃げ切り勝ち。勝ちタイムは1分10秒2(上がり36.5)。レース中の不利もなく、能力を十分に発揮したと見る。2歳馬として、このタイムは速いほうでもあるので、一応の水準といえる。この
 1分10秒2を、1200メートルにおける基準とする。
 4戦目すずらん賞(札幌1200メートル)は、2着に敗れたとはいえ、1分10秒6で走っている(上がり36.1)。このときは他馬(タイセイブレーヴ)に先手を許し、直線で追いかけたが届かなかった。楽に先行馬を逃がし過ぎ、持ち味であるスピードを生かせなかった。この馬の持ちタイム(1分10秒2)よりも0秒2遅いのは、レースのアヤである。さて、舞台が福島に移って、11月9日の福島2歳ステークス(1200メートル)。ナムラビッグタイムを物差にして、能力を測ってみる。1200メートルを少なくとも1分10秒台の前半で走れることが条件となる。福島は他の競馬場より速いタイムが出ることで知られている(推定約1秒速い)から、1分9秒台の決着が予想される。ナムラビッグタイムの場合、持ちタイム1分10秒2からすれば、1分9秒台はもちろん、うまくいけば1分9秒2は出し得るはずだ。
 結果からいえば、ナムラビッグタイムが1着。タイムは1分9秒0(レコード)。推定よりも0秒2速いタイムだったが、ほぼ基準通りに走ったといえる。なお、2着はマイティキャプテンで、1分9秒8。前走のアイビーステークスでナムラビッグタイムに0秒4遅れを取ったが、今度は0秒8の差があった。これは乗り替わった騎手の腕の差もあるだろう。3着から7着までが1分10秒台。これでは勝負にならなかった。
 ナムラビッッグタイムの次走は、11月23日の京都もみじステークス(1200メートル)。獲得賞金の関係で57キロの重量を背負うハンデと、中1週のきつぃローテーション。それがどう響くか微妙だが、一応の目安は1分10秒2。このタイムを出し得る馬はどれか。それが有力馬探しの1つのポイントになるだろう。

(戸明 英一)

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