2003年(平成15年)8月20日号

No.225

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(81)

昔とった杵柄

芹澤 かずこ

 

 けん玉という遊びに級があり、競技会があるのを初めて知った。けん玉協会認定という紐の長さやお皿の大きさが決まっているものも市販されているとか。夏休みに孫を連れて遊びに来た長男が得意げにけん玉をして見せ、その側で小三の女の子も「もしもし亀よ亀さんよ♪」と歌いながら上手にけん玉を操って見せる。
どれどれと久振りに挑戦してみた。
 「初心者は大皿から始めたほうが・・・」と長男が偉そうに言うのを制して、背の高い方の中皿から挑戦。始めはなかなか勘が取り戻せなくて空振りばかりしていたが、漸くひょいと乗せることが出来た。拍手喝采。ここを制すれば大皿小皿はしごく簡単。
 お次は先の尖った部分だが、これは難関。それまでのように玉を揺らさないようにするのではなく、回すのが良いと言う。言われたとおり紐をくるくると捻って回転させ、一気に弾ませてみたら、一度でストンと入った。またまた拍手喝采。
 長男曰く、「素人はこれだから怖いよ、まぐれでも入るんだから・・・」
 これにはカチンと来た。まぐれか否か再度やって見せようではないか。もう一度、紐を回転させ弾ませる。またまたストンと見事に決まり! 
 最後はローソクと呼ばれる先端の尖ったところを指先でつまみ、その状態で玉を乗せるのだと言う。柄を握って固定するのではないから不安定この上ない。今までの自信がぐらついたが、敵に後ろは見せられない。精神を集中してエィ!と振り上げる。
 乗った、乗った!! これには自分でもビックリ。自転車やスケートと同じく子供の頃に体で憶えた感覚というのは、歳月が経っても残っているものらしい。折角の湯上りに緊張してまた汗をかいたが、気分は爽快だった。



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