2003年(平成15年)6月1日号

No.217

銀座一丁目新聞

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安全地帯(46)

−世界平和は沖縄から発信へ−

−真木 健策−

 沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園の一角にある平和祈念資料館(平成12年4月1日開館)の入館者が120万人を超えた。「摩文仁の丘から平和の波を」の合言葉に旧資料館から内容も一層の充実を図り、鉄筋コンクリート半円形の近代的建物に生まれ変わった。広さも延べ10200平方メートルある。私が訪れた日も大勢の人々が来ていた。外人の姿もあった。
 太平洋を望み、散策を楽しめる広い庭園、館内もゆったり観賞できるように設計されている。敗戦の昭和20年(1945年)3月、わが国で唯一の地上戦が行われた沖縄だけに平和への願いが強いものがある。
 沖縄本島中南部に無差別な空襲、艦砲射撃、迫撃砲、壕に対する火炎放射器などによって一般住民に多大な犠牲者が出た。その実相を語る145人の体験証言を綴った資料を展示する部屋、沖縄戦への道、大型スクリーン、モニター、レーザー光線で立体地図の中に展開される沖縄戦。地獄の戦場。壕に避難する人びと。焼け焦げた衣服。図書文献、視聴覚資料、平和学習の教材などモニター画面で検索できる検索コーナー、多目的ホールなど第五展示室がある。
 日本の米軍基地の70パーセントを占める沖縄ではなおさらその思いが深いものがる。世界各地ではいまなお紛争、テロが絶えない。この資料館は「観光だけでなく是非一人でも多くの人に見て もらい、沖縄の教訓を世界平和へと発信して欲しい」と訴えている。

  風薫る摩文仁の丘に人たえず  (読みびと知らず)

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