2003年(平成15年)2月10日号

No.206

銀座一丁目新聞

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安全地帯(36)

−天の恵み「おいしい水」−

−真木 健策−

 埼玉県和光市の旧国道254号,通称川越街道脇にある駐車場の山側から流れ水は「冷たくておいしい水」と評判である。近所の住民や車でさまざまの容器を持って、水を汲む人があとを絶たない。年中水が枯れることはない。滅菌のために塩素を加えた臭気のある水道水とは違って、臭いはなく、冷たい地下水だけにおいしさは格別である。その水でお茶を入れたり、米を炊いたり、飲み水などに用いたりしている。飲食店の主人も主婦も来る。
 昨今では家庭で水道に浄水器を設置していないのが少ないくらいだ。スーパーなどでもいろいろな水が売られ、人気を集めている。コーヒー党にいわせれば、コーヒーのうまさは水によるという。
敗戦間もない昭和22年頃、信州の家で水道がまだなく、50b余離れた谷間の湧き水のたまり場からバケツに汲み、天秤棒で何回も運び、水カメにため、飲み水に使ったり、風呂用にしたりした。薪で湧かすその風呂は今も健在である。山からの湧き水だけに冷たく、美味しかったことを思い出される。湧き水場から谷間の水田を潤していたが、冷水のため米の収穫量が少なかった。
 富士の裾野など各所に名水と呼ばれるところが結構多い。名水とは「茶の湯に適した名高い清水」(辞書)という。日本の水道水は世界でも名高い。「美味しい水の國」といわれるる。世界には安心して飲める飲料水のない國、地域が多々ある。そのために世界水会議が開かれてもいる。日本は恵まれすぎている。天の恵みに感謝せねばならない。

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