2003年(平成15年)2月10日号

No.206

銀座一丁目新聞

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花ある風景(120)

 並木 徹

 第57回毎日映画コンクール表彰式に出た(2月6日・東京プリンスホテル)。お目当ては田中絹代賞を頂いた吉行和子さんである。映画は浜野佐知監督『百合祭』しかみていない。受章対象の松井久子監督「折リ梅」は見る機会がまだないが、NHKテレビ『親の顔を見てみたい』の吉行さんのナレーションがいつも心にしみ通り、気持ちがやわらぐので、是非あってみたいと思っていたからである。プレゼンテーターの倍賞美津子さんも『TBS「3年B組金八先生」でずっと共演していましたが、吉行さんのそばにいると心がなごみました』と挨拶した。不思議な魅力を持つ女優さんである。
 今回の受章は今村昌平監督の「にあんちゃん」(1959年・日活)での女優助演賞以来43年ぶりだという。「絹代賞は励みになります。女優を続けてゆく上で力を与えてくれます」と語る吉行さんは実は田中絹代さんと共演してる。始めて宇野重吉が監督した「あやに愛しき」(1956年・劇団民芸・独立映画)に近所の女の子役で出ている。主演は信欣三・田中絹代である。吉行さんがまだ二十歳そこそこの頃である。
 吉行さんにはもう一つ別の顔がある。俳号窓烏(まどがらす)を持つ俳人である。最初の句が「コーヒーにケーキをつけて走り梅雨」である。また「双六のごとく歯がゆき月日かな」もある。授章後のパーティで吉行さんと立ち話をした。私の独断的俳論を笑顔で聞いてくれた。「どの役も白紙で臨みたい」という彼女にどのような風が吹いても受け止める、しなやかな柳のような感じを受けた。華のある人である。今後も大いに期待する。

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