安全地帯(6)
−山の幸、山菜−
−真木 健策−
「八ッ岳仰ぐやわらび手にあまり 及川 貞
木の芽が吹き、新緑の春。寒い北国では雪解けで遅い春を迎える。4月末から5月始めの大型連休から6月にかけて東北、信越地方では、山の幸、山菜採りがはじまる。冬眠から覚めた山は人々でにぎわう。
山菜といっても一般的に知られているものは、フキノトウ、ワラビ、フキ、ヨモギ、ウド、ゼンマイ、ネマガリダケ(細竹)、セリ、コゴミ、タラノメなどである。
タラメノやコゴミは、ビニールハウスで栽培育成しているものもある。タラノメは最初はタロッペ(太郎)次に取るのがジロッペ(次郎)、サブロッペ(三郎)ともいう。露地栽培もみられる。ヨモギは道路わきや土手など、どこでにでも群生している。
山菜採りも山を分け入り、大変な苦労をするをする。時には転落事故や行方不明者を出す。自然保護から入山料をとるところもある。
山形県西山町間沢には山菜専門の店、出羽屋(電話0237−74−2323)、玉貴(0237−74−2364)があり、天ぷら、おひたし、あえものなど豊富な料理がでる。東京を始め関東地方から訪れる客が少なくない。
太古の記録、甲骨文字にある菜の字は、爪の先で木の芽や草の芽を摘むことをあらわすという。古来、わが国では菜といえば、野山に自生し、食べられる木や草を意味してしているといういわば食文化の源である。農村の郷土料理といえるであろう。 |