2002年(平成14年)2月10日号

No.170

銀座一丁目新聞

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茶説

ウソつきはそんなに多くはない

牧念人 悠々

      雪よ雪とけて黒きは人も同じ   悠々

 人の前では好意をみせているので、おれには別段悪意を持っていないのだろうと思っていたら、意外にも他人には人の悪口をいっているのを聞く。そんなことを幾度となく経験した。自分自身にてらしてみても、ついつい、人の悪口をいう。人間はもともとウソつきなのか。本能的に自分を守ったり、業績を上げようとしたりするためにそうするのであろうか。
 それが嵩じると、欲にくらんで、ニセ伝票をつくったり、生産地の牛のラベルを張り替えたり、とんでもない悪業をする。誠実が一番というのはわかりきっている。それがわかりながらもウソをつく。
 中条きよしがいみじくも歌った。『捨てたタバコの吸殻であなたのウソがわかるのよ』(作詞山口洋子)。女性は勘が鋭い。男の所作が普段と違うからたちまち見破ってしまう。男女の間にかぎらず、ウソはいずれわかる、ばれる。
 イギリスのバークレイ銀行が4500人を対象にW杯サッカーに関する調査結果を発表した。それによると、イングランドの試合のテレビを「仮病を使い、休暇を取って観戦する」と答えたのが40lもいたという。こんなに休まれたら、企業は大損害である。十人に四人がウソつきで、あとの六人は正直者ということになる。
 日本でも日本戦のチケットは、プレミアがついている。「スポニチにいたから何とかなるだろう」と、友人からチケットを頼まれた。一枚も手に入らなかった。これは本当の話である。
 ウソつきは顔をみればわかる。心のやましさが顔に出るからである。そういえば、2月6日偶然に会い、話したNGO「風の学校」の石田恵慈さんの顔はさわやであった。アフガンで800、メキシコでも井戸を掘った体験を静かな落ち着いた口調で語った。謙虚さがにじみ出ている。また、私の周りには優しく、優雅な顔の人ばかりいるのに気がつく。

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