2001年(平成13年)11月20日号

No.162

銀座一丁目新聞

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茶説

『常在戦場』の気持ちを忘れるな

牧念人 悠々

 アフガン情勢が急転をみせている。今はおさまっているが、これまで好意的だったマスコミのアメリカ、とりわけブッシュ大統領に対する批判が強くなっている。アフガン攻撃から一ヶ月余、あまり戦果があがらなかったからであろう。マスコミは暇だとあれこれあげつらうようである。批判は自由であるが、的外れの報道、番組は読者、視聴者をまどわしかねない。
 一番抑えておかなければいけないのは、この戦争の形とその目的である。戦争はテログループ対米国を主力としてテロと戦う国々の間で行われている。しかも今までになかった新しい形の戦争である。目的はウサマ・ビンラディンとその組織「アルカイダ〕の撲滅にある。自由諸国がテロと戦うのを誓い合ったばかりではないか。そのことをもう忘れている。さらに強調したいのは、同時多発テロで5000人近い死者を数え、日本人も24名犠牲者を出した事実である。日本は傍観者ではない。テログループと戦う『常在戦場』に置かれている。しかも後方支援の役割をはたすため自衛艦を派遣している。さらに、復興、人道支援も期待されている。
 ビンラディンは日本もテロの対象にすると言明している。この戦争を対岸視できない厳しい状況にある。戦う覚悟を決め、その志を持続せねばならない。
 新しい形の戦争はどんな展開を見せるか予想がつきにくい。タリバンが首都カブールを放棄、北部同盟が首都を制圧した(11月13日)。これから本格的なゲリラ戦になると予想される。政権の受け皿はまだできておらず、少数民族の集りだとはいえ北部同盟を政権から簡単に排除するわけにゆくまい。ビンラディンはすでにアフガンを出国したという。まことか、ウソか。難問はつぎからつぎに起こる。テロ根絶まで戦争が続くのだから勢い長期戦にならざるをえない。
 戦争は錯誤の連続である。すべてが予定通り行くわけはない。個個の現象にとらわれず、事の本質をしっかり見極めて論ずべきだと思う。批判は自由だが、役に立つ建設的なものにしてほしいと願わざるを得ない。

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