2001年(平成13年)7月20日号

No.150

銀座一丁目新聞

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茶説

無党派層は愚者ではない

牧念人 悠々

 参議院議員選挙の投票が7月29日、行われる。小泉自民党が勝つであろう。東京都議会議員選挙の結果が示した通りになる。時代の流れである。「日本を変える」、「構造改革なくして景気回復なし」のキャチフレーズが国民の心を見事に掴んだと言える。今回も浮動票は小泉自民党にながれる。
 80%をこえる人気に危惧を抱く人もいる。朝日新聞は「座標」で早野 透が「狂熱より理性取り戻す時」と訴えた(6月30日)。文芸春秋は8月号で、高村 薫が「宰相小泉の空虚なる語法」を執筆、簡潔で断定的な絶叫が実りある議論を拒絶すると批判した。このような言論状況はきわめてよいことである。
 道路特定財源、郵政民営化などは参院選挙後に持ち越された。「日本を変える」のは、はたして可能なのかという思いもする。
 国の大改革をするには国民の圧倒的支持を必要とする。それが今だと思う。80%がすべて理性を失っているわけではない。、浮気にみえる無党派層はどれぐらいいるのであろうか。
 ここに「付和随行」の心理学的実験を紹介する。ちょっと乱暴な気もするが、参考に見てほしい。
 要約すると、たいていの人は信号を守っているが、信号を守らない人がいると、自分もそうする傾向がある。 しかも高いステイタスと見られる人(実験では新しい、プレスのよくきたスーツを着、白いシャツとネクタイをし、帽子をかぶっている)が、信号を守らないとき、とくにその傾向が強くなる。実に14%もの人が同調する。ちなみに、ステイタスの低い人(実験ではスリッパのような靴、よごれたズボン、アイロンしてないデニムのシャツ)の場合は、信号を守らない人はわずか4%に過ぎない。(犬田 充著「行動科学入門」日本経営出版会刊)。
 つまり、人間は付和随行の傾向がある。ステイタスの高い人の行動にひきずられやすいというのだ。それでも14%にすぎない。小泉さんはこれまでの首相とちがって、女性閣僚を多く登用し、派閥を無視した。派閥、族議員を壊そうとしている(政治的にステイタスが高い人とみてよい)。この人が「変えよう」といっているのだ。無党派層が同調するのは当然であろう。「付和随行」の実験を適用してもそうおかしくあるまい。
 小泉さんはワイドショーにも、CMにも登場しているので、「付和随行」の率はもう少し高くなるかもしれない。 それでも14%から20%の間であろう。これが浮気な無党派層の割合である。残りが自民党支持者としっかりした無党派層ということになる。
 これまでも、無党派層は時代の流れに敏感で、ちゃんと政治をみつめている。流れが右に行過ぎたと感じたら、革新政党に投票し、左に回りすぎたと思えば、保守政党に投票してきた。すくなくとも60%の無党派層が狂熱も理性も持ち、空虚なる語法を見抜いている。その投票行動の結果なのである。無党派層は賢者である。その心配は杞憂に過ぎないように思える。
 ともかく、棄権せず、投票すること。

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