2001年(平成13年)7月20日号

No.150

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(19)

-花 火

芹澤 かずこ

 

 ドーン、ドドーン、威勢よく打ち上げられる花火。夜空を彩る大輪の花。私は子供のころから花火が大好きなのです。終戦後、世田谷の今の新玉川線の沿線に住んでいたので、二子玉川の花火大会にはよく出掛けました。敷物やお弁当を持って、まだ明るいうちから河原に陣取って、水遊びをしながら暗くなるのを待ったものです。
 結婚して中野に移ってからは近くに催しがなかったので、マンションの6階から遠くに見える豊島園の花火を、細々と楽しんでいました。そしてまた、古巣の世田谷に戻ってきて、玉川の花火との付き合いが復活しました。
 夫の友人で自ら花火評論家と名乗るK氏が、毎年、河川敷に近い自宅を開放して下さり、花火好き、宴会好きの友人、知人が30名ほど集まって、持ち寄りの酒と肴で大宴会をしたあと、K氏の教え子の学生たちが早くから用意してくれた河原の桟敷へゾロゾロと移動します。K氏の薀蓄(うんちく)に耳を傾けながら、年々華やかになる花火に歓声を挙げ、大仕掛けのナイアガラの滝を最後に、またゾロゾロとK氏宅に戻って宴会の続きです。

 夫が他界し、この集まりから遠のくと、また別のお誘いがかかりました。夫がよく通ったレストランのオーナーが京王多摩川に建てた8階建てのビルの屋上が、調布の花火大会の打ってつけの桟敷席になったのです。
 元コックでもあるオーナーが屋上に鉄板を用意して、久々に腕を振るってくれるのを、冷たいビールを片手に、和気あいあい食べながらの花火見物は、また格別のものです。ハイライトは全国でも初めてという一尺玉(直径23センチ)の百連発。5分間の光と音の息詰まるようなショータイム。七夕のように1年に1回、そこで顔を合わせる常連も出来ましたが、年々、周囲にビルが増えて花火が少しづつ欠けて見えるのが贅沢な悩みです。



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