2001年(平成13年)6月10日号

No.146

銀座一丁目新聞

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茶説

あえて田中外相を弁護する

牧念人 悠々

 田中 真紀子外相への風あたりが強い。野党だけでなく与党からもおきている。問題の発端は他国外相との会談の発言内容にある。新聞、テレビをみるかぎり、田中発言は日米関係を悪化させるものとは思えない。アメリカのミサイル防衛構想、日米安保体制についての批判にしても、それほど過激なものではない。筆者でもそれぐらいの批判を持つ。建前論に終始した会談では中味あるものにはならない。積極的に話し合いを持ったことで、相手国の意向を知る手懸かりを得るわけで、むしろ評価すべきと考える。
 外相を心よく思わない外務省筋が意識的にリークしたものであろうが、「閣内不統一」「日米関係に悪影響を及ぼす」とめくじらたてるようなものではない。
 田中外相にしても日米同盟を基軸にした上での発言である。動きの激しい世界情勢の中で日米関係をどのように構築していくか、難しい問題である。それを各国外相と接触できる場で、積極的にその機会を持つのは当然である。しかも相手の本音を引き出すのにそれなりの交渉テクニックを使うのは許されよう。その内容をいちいち外に漏らされて、外相とてやりにくいであろう。役人には省益あって国益なしと言う言葉があるが、今回のリークをみるとその感を深くする。
 日本外交もいつまでもアメリカの言いなりになっている時代ではない。日本の思っている事、疑問点、国内情勢など率直に語るべきである。父角栄の反対を押し切って、高校生活を米フィラデルフィアのハイスクールで送っている外相だけに、アメリカ人の気質は心得ていよう。その意味では自分の言葉を持ち、自分の意見を言える大臣がいたほうが日本の国益にかなう。
 たしかに田中外相のものの言いようは物議をかもし、反発をまねく。それはそれでよいではないか。今の時代テキパキ問題をこなし、堂々と本音をいえる大臣は国民からみると頼もしく見える。庶民感覚も十分ある。高価なホテルの部屋を取り替えることなどは今までの外相が出来なかった事である。改革の時代これくらいの型破りの大臣でなければことはうまく運ばない。心からエールを贈る。

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