2001年(平成13年)5月10日号

No.143

銀座一丁目新聞

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花ある風景(57)

 並木 徹

 5月の連休に2年ぶりに長野県戸隠村の丸太小屋に休養に行く。4日の国民の休日に、水芭蕉と小鳥で有名な戸隠森林植物園へ。近くの川中島バスの大久保の茶屋でバスを待つ。バス停の小屋の中はカンとタバコの空き箱などが散乱している。見かねてかたずける。部屋の片隅にホウキがあるところを見れば、お客さん気が向いたら掃除してくださいということか。
 バスに乗れば、20分足らずで森林植物園に着く。昭和39年5月開園。総面積71万平方メートル、標高は1200メートルから1250メートルある。樹の種類は200種、ハンノキ、コブシ、シラカンバ、ミズナラ、ブナなどである。小鳥は120種類、ホトトギス、セキレイ、ウグイスなどがいる。
 今年は例年になく寒かったようで、園内に残雪があった。小道はぬかるんでいる。名物の水芭蕉は白い花を咲かせていたが、まだ四分咲きといったところであった。あと10日もたてば美しい群生が見られるであろう。

  残雪に顔のぞかせる水芭蕉

 野鳥の鳴き声とその姿はいたるところで聞いたり、見たりすることができる。可憐なその姿をカメラにおさめたり、望遠鏡でウォッチングを楽しんだりしている人が目立つ。森林の中を歩くこと小一時間ぐらいで戸隠神社の随身門にでる。奥社まで900メートルとある。これまでにも行ったことがあるが、のぼり階段があってかなりしんどい。祭神は天手力雄命(あめのたちからのみこと)。五穀豊穣、開運、心願成就などがかなうという。思い切って行くことにする。参道両側の杉並木は400年をこえる。階段は残雪で埋まってかえって登りやすい。上がってみれば、奥社には善男善女でいっぱい。何と信心深いことか、驚くほかない。本殿に行くには階段を上ってゆかねばならない。階段の右側には残雪があり、上り下りが自由にならない。参拝者のために除雪でもすればと思うが、誰も不平を言わない。当方は意志を示すため最小限のお金を賽銭箱に投げ入れた。
 いろいろ考えさせられる連休の一日であった。

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