2001年(平成13年)2月20日号

No.135

銀座一丁目新聞

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茶説

危機管理とは常在戦場のこと

牧念人 悠々

 危機管理は日常の生活の中でも必要なのである。何も事故・災害・事件の時だけではない。危機管理の意識があるかないかはその人の行動にでる。森 喜朗首相にはまずその意識はない。ゴルフに出かける際、万一に備えて背広、Yシャツ、ネクタイを用意していないことでもわかる。大事件がおきたら、首相は何時呼び出されるかわからないではないか。心ある企業のトップならそれぐらいの用意をしゴルフにでかける。
 それを怠るのは「常在戦場」の気持ちがひとかけらもないからである。しかも国会開会中ではないか。リーダーとしても落第というほかない。
 危機管理とは危機を未然に防ぐこと。その芽を未然に摘み取ることが出来れば最上である。危機に見舞われた時、速やかに現状を把握し、的確に処理し被害を最小限にくいとめ、事後処理をきちんとすることである。
 現状に即していえば、今回のハワイオアフ島沖での宇和島水産高校実習船「えひめ丸」と米原子力潜水艦「グリーンビル」の衝突事故は、ただの事故ではない。日本の船に衝突したのはアメリカの軍艦である。どんな不測の事態が起きるかわからない。行方不明者の捜索に最重点をおくのはいうまでもない。それと共に、おきるであろうすべての事を予想してあらゆる対策を立てるのが危機管理なのである。意地の悪い言い方をすれば、この機会をとらえてアメリカの悪口を書き立て反米感情をあおるものがでないともかぎらない。そうでなくとも、すでに反米感情がおきている。リーダーたるもの常に最悪の事態を考えて対処すべきである。
 冷静に考えれば、政府としてやらねばならい事は少なくないはずである。首相の位置だが、指揮するに便利で連絡が容易であるところが望ましい。グリーン上では部下の士気にも影響するし、その威徳も伝わらない。やはり首相官邸がいいのではないか。
 最後に良寛が地震見舞いとして送った有名な手紙の一節をささげる。

・…災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。
  是はこれ災難をのがるる妙法に候

(柳田 聖山著「良寛」・日本放送出版協会刊・NHKライブラリー)

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