2000年(平成12年)10月1日号

No.121

銀座一丁目新聞

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茶説

21世紀は日本女性が羽ばたく

牧念人 悠々

 シドニーオリンピック、女子マラソンでの高橋 尚子さんの優勝は快挙である。21世紀の世界に日本の女性たちが羽ばたいていくのを予見させる。
 日本陸上界にとっては64年ぶりの出来事。1936年11回ベルリン大会でマラソンの孫基禎さん、三段跳びの田島直人さんが金メダルを取って以来である。もちろん、女性としては初の金メダル。メーン・スタジアムの陸上競技場にとびこんできた高橋さんの姿をみて日本の観客は感動したに違いない。
1968年19回メキシコ大会のマラソンで君原健二さんが銀メダルを獲得、メーン・スタジアムに流れる君が代と掲揚される日の丸の旗に思わず涙したのを思い出す。
 小出監督は「すばらしい環境のもとで、おいしいものを食べそれなりの練習を積めば、目標は達成される」とこともなげに言うが、本人に素質とそれだけの体力と気力がなければ、誰もができると言うわけではないであろう。
 それなりの練習というが、どうもなまやさしいものではない。常識破りであった。外国選手たちが2000メートルの高地練習しかやらなかたのを3500メートルの高地で長期練習を行った。其のため心肺機能も脚力も並外れのもになった。シドニーの宿舎もコースの32キロ付近におく、準備周到さをみせた。これは一例に過ぎない。小出監督と高橋選手は相手に勝つには何をするのが一番大事かという戦術の基本を忠実に実行しただけである。
 それが世界の晴れ舞台で通じたというのは私たちにとって教訓的である。21世紀を生き抜くためには、固定観念を排し、既定観念を見直し、新しい創造と挑戦をせねばならない。そのことをマラソンでの快挙がはっきりと示している。

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