2000年(平成12年)2月1日号

No.97

銀座一丁目新聞

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花ある風景(12)

並木 徹

 話題を呼んだ映画「てなもんや商社」で監督デビーした本木克英さんが「釣りバカ日誌イレブン」に挑戦した。

 多少知っている本木監督がこれまで栗山富夫監督が手がけてきた12本(スペシヤル作品をふくむ)とどう違うのか,気になって試写を見た(1月17日)。

 面白く感動した。何本か見た「釣りバカ日誌」とさほどの違和感はなかった.違った点といえば、スーさんこと鈴木建設社長、鈴木一之助(三國連太郎)がえらく立派にみえたことである。ハマチャン(西田敏行)とは余りなれなれしくなく、終始考えごとをする.仕事先の沖縄では風力電気をおこす風車を視察したり、タクシー会社の社長兼運転手、知念玉恵(余貴美)の話しに感心する.知念社長は夫がなくなった後社長をつぎ、「どうすれば、6人の社員が気持ちよく働いてくれるか」と考え、朝早く会社にでて、トイレを掃除し、夜はオニギリを握るなどの努力をしているという。

 帰京後、アメリカの経営コンサルタントに実施させた会社診断をやんわりと、拒否.各自が能力に応じて懸命に働きチームワークよく業績をあげたいと所信を表明、不況におちいっている鈴木建設のリストラを止める.真っ先にクビをきられる運命のハマちゃんはたすかるわけである。こシーンをみて日野自動車、湯浅浩社長の言葉を思い出した.「リストラによって人の行く末をたつということは経営者として失格といわざるを得ない.経営者に責務は本来人を救い、人を幸福にすることである](雑誌「ウエッジ]平成11年12月号)

 脚本を書いた山田洋次さんがこの映画で一番いいたかったのはこの思いではなかっただろうか。本木監督は三國、西田らベテラン俳優たちを使いながら苦労したと思うが、楽しく、立派な映画に仕上がっているのをなによりも喜びたい。

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